学校図書館と探究学習の関わり
学校図書館で学ぶ探究学習
「○○先輩の論文ありますか?」
と聞かれることもあるリブラリア。
本棚を眺めると、生徒が書いた卒業論文や創作物語がすぐに目に飛び込んできます。
それら生徒作品は、学校図書館を使う探究的な学びのカリキュラムの成果物。
「リブラリア・カリキュラム」と冠した、一連の授業で作られた作品です。
一般書や学術書の隣に、生徒の論文が並ぶ本棚
カリキュラムの基本方針は、
「自分でテーマを決める」
「図書館を使って学ぶ」こと。
生徒自身が興味ある題材を考え、自分でテーマを決めるからこそ、主体的な学びが生まれます。
そのような学びを、「なんでも学べる」場である学校図書館がサポートします。
生徒の多様な興味・関心から生まれた探究活動は、多様な図書館の本があるからこそ実現するのです。
探究的な学びの過程では、生徒自身もまた研究者や創作者となります。
そこで生み出された論文やレポートは図書館の蔵書となり、後輩に読み継がれます。
専門家が書いた本に学び、自分もまた誰かのために役立つ研究成果を残す。
情報を手に入れるだけでなく、新たな情報を生み出し社会に差し出す人にもなる。
そんな探究学習に、図書館をあげて取り組んでいます。
中学生の取り組み
本を読み、自分のコメントを加え、画用紙一枚のポスターにまとめる
本を試し読み、評価し、回す。短い時間でたくさんの本と出会う
自分でテーマを決めて統計調査を行い、分析する
本のためし読みに挑戦したり、普段お世話になっている企業の方に感謝のたよりを送ったり、アンケートをとって統計データを分析したり…。ひと言でいえば、一般の教科で習うような「読み」「書き」「算」を実際に作品づくりで活用する授業が、清教学園中学の総合学習です。
そして、これらの授業ではいつも、「どんな本を読もうかな」「どんな相手に手紙を書こうかな」「どんな統計をとろうかな」といったように、題材・テーマを生徒が決めます。
個々の生徒に対応が必要な授業が可能なのも、生徒の興味・関心に強い図書館があるからこそ。
授業で「今回の課題ではどんなことがしたい?」と繰り返し問われるのは、それが総合学習の集大成、卒業論文「なんでやねん」を執筆するための「知的基礎体力」となるからです。
卒業論文で「じぶん」を問う
中学総合学習の集大成が、卒業論文「なんでやねん」。
自らの興味・関心で選んだテーマについて、図書館の文献で学び、自らの問いを見つけ、根拠に基づいて答える一年間です。このような自由な学びを、豊富な蔵書と司書・司書教諭が支えます。館内ではいつも、司書に研究相談や資料調査を依頼したり、互いに研究の相談をする生徒の姿が。「こんな文献ありませんか」「いま研究テーマに悩んでて」などなど。自由に学ぶという授業が、やがて主体的に学ぼうとする生徒の雰囲気を醸成します。
卒業論文は生徒に対して、何を・なぜ・どのように学びたいのか問います。研究テーマの検討はいわば、「じぶんとは何者なのか」を問うことと同じ。図書館で卒業論文を仕上げた生徒それぞれが、新たな「じぶん」を発見し、高校での学びへと羽ばたくのです。
外部サイト(https://cocorocom.com/school/article/76)で、中3卒業論文の取り組みと、発表会の様子が詳細に報告されています。
ページ中盤からは、授業担当スタッフが卒業論文に取り組む意義、図書館で学ぶ理由を語っています。併せてご覧下さい。
高校生の取り組み
生徒の研究テーマ
「国内自動車メーカーのカーデザイン分析」「形式意味論を応用した機械翻訳の可能性」「食の『国際化』と『伝統』がいかに両立するか」など様々。
それぞれの生徒が進路開拓も見据え、興味のある題材・テーマの研究に取り組んでいます。
これら研究成果を用いて総合選抜型の大学入試に挑戦したり、研究経験をきっかけとして難関大の一般入試に挑戦しています。2017年の発足から、多くの生徒の進路開拓に繋がっています。
グローバルな視点で世界から世界を学ぶ
高1・2年生が取り組む探究学習「Global Studies」は、社会課題の解決を目指し、生徒が協働、もしくは個人で研究活動に取り組む授業です。
図書館からは先生への授業教材提案・提供や、生徒への参考文献の提供などを通じてサポートしてきました。
「なんでも学べる」図書館の蔵書が、どんな授業の探究テーマにも対応し、高校生の学びをサポートしてくれます。